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画像:幻のサイドストーリー「青空の考え方を、別のプロジェクトに適用する」
ストーリー

幻のサイドストーリー「青空の考え方を、別のプロジェクトに適用する」

 

『青空本』出版連動企画、第3弾!

 

住友生命保険相互会社(以下、住友生命)の百田牧人氏・岡本晋太朗氏、そしてケンブリッジのコンサルタント榊巻亮の3名による共著『ファシリテーション型業務改革 ストーリーで学ぶ次世代プロジェクト』が2020年8月22日に発売されました。

 

「実名実話のプロジェクトストーリー」ということで、話題の本書。全3回で、本書にまつわるエピソードをご紹介します。

第2弾によれば、当初500ページあった原稿を400ページまで削減した、とのことでしたので、今回は、泣く泣くカットした部分から、その一部をご紹介します。

 

(インタビュー 2020年10月)

#01泣く泣く削減した、幻のサイドストーリー

出版後の反響はいかがでしょうか?

 

榊巻:

「400ページものボリュームだったが、一気に読めた」という感想をたくさんいただきました。実名実話のストーリー仕立てで具体的に分かりやすく書いた甲斐がありました。

でも、前回も言いましたが、最後の最後で100ページ以上泣く泣くカットしてなんとか400ページに収めたのですよ(前回記事リンク)。

執筆過程でボツにした文章も含めたら300ページの本がもう一冊できる分量です。

 

 

読者としては、カットされた中にどのようなことが書かれていたのか、気になります。

 

榊巻:

はい、今回は、カットしたものの中から「幻のサイドストーリー」を公開しようと思います。

共著者である住友生命の百田さんと岡本さんが、青空プロジェクトとは別のプロジェクトに呼ばれ、一歩二歩と踏み込んでいくお話になっています。サイドストーリーという形で本書に掲載しようと思っていましたが、ページ数の関係で削りました。

本書400ページでは物足りないマニアな人向けですが、青空プロジェクトの熱量が住友生命さんの他のプロジェクトに伝播した好例です。また、岡本さんの眩しいばかりの成長ぶりも必見です。

#02サイドストーリー
「青空の考え方を別のプロジェクトに適用する」

(左)百田氏 (右)岡本氏 (中央)榊巻

■青空プロジェクトの熱量を伝播させる[百田]

ここで、本論とは少し外れるエピソードを紹介したい。

青空プロジェクトの核心は、みんなが心から共感できる「俺たちのゴール」を共有し、その達成のために全員がそれぞれの得意分野を活かして熱量を注ぎ続けたことだと思う。自分たちが「やりたい!」と思い、「どうにかプロジェクトに貢献したい」と思ってやっている仕事だった。

そして、この熱量・思想・ノウハウを青空のプロジェクトの中だけに留まらず、会社の他のプロジェクトにも拡げていって、躍動感あるプロジェクトをもっともっと増やしていきたい。僕や岡本は、そんな思いを持って青空以外の仕事にも取り組むようになった。

 

 

■社内のポータルサイトプロジェクトに参画[百田]

2016年6月、僕と岡本は別プロジェクトのミーティングに参加していた。ざっくり言うと、全社のポータルサイトを更改するプロジェクトだった。毎日1万人を超えるユーザーが見るポータルサイトであり、相当に大規模なプロジェクトだ。青空プロジェクトとも関係すると言うことで、僕と岡本がオブザーバーとして参加することになった。

関係する部門も多岐に亘るため、関係者からいろんな要望・意見が出る。それを調整してまとめ上げるのは当然難しいのだが、それにしても、その日の会議はかなり迷走しているように見えた。システム部門、ビジネス部門、一般管理部門などが参加しているが、それぞれ立場の違いもあり議論が全く噛み合っていない。

このまま全体最適が通しきれないと、悪くするとおもちゃ箱をひっくり返したようなポータルになる。拠り所となる指針やコンセプトがないと「これも」「あれも」載せようとなって収集がつかなくなるのだ。

私の目からは、まさにそうなりかけているように見えた。

「さて…どうしたものか」と思っていた時、隣にいた岡本が口を開いた。

 

 

■当事者がいないプロジェクト[岡本]

初めて社内ポータルサイトプロジェクトのセッションに参加して感じたのは(あれ…?このセッション何か違和感が…)であった。

「これはシステム的な話なので情報システム部が調べてくれますよね?」

「ここをどうしたいかはユーザ部門が決めてくれないと…」

「個人的にはこの機能は必要だと思いますけど、誰がどうやって決めるんですか?」

…別に誰が悪いわけでもない。しかし、誰もが主体的でなく、全員が参加者になってしまって、当事者になりきれていないプロジェクト。

私は普段青空のセッションばかり出ているので忘れていた。(あ、これが普通の当社の打合せか…)そう思い出した。かくいう私も同じようにお客さん気分でいたのだが。 

そして、青空プロジェクトの状況と照らし合わせた時に、一つの考えが浮かんでしまった。

「あの…。この場の全員が共感できるコンセプトを立てませんか。」思わず発言していた。

「若手の私が言うのも憚られますが、1つ1つの意見は正しくても、全体としてどういう方向に進もうとしているのかが、ちょっとずつズレている気がして…。」

多くのメンバーがキョトンとするなか、百田が援護射撃してくれる。「コンセプトか。青空プロジェクトではコンセプトを大事にしたもんね」

「はい。ポータルサイトの役割を考えると『確実に伝える』『検索性を高める』『情報量を減らす』など、それぞれごもっともな意見が出ている中で、何を優先させ、全体としてどんなポータルサイトにしていきたいのか、しっかりと共有できていないのかもしれません。加えて、コンセプトが共有できたら、実際にプロトタイピングしてみませんか。プロトは紙芝居ベースでよいと思うので、みなさんがよろしければ私が作ってきますよ。」

百田以外の参加者は、ピンと来ていない様子だったが構わなかった。

 

 

■青空の考え方でプロジェクトが好転[百田]

ここからの岡本はすごかった。一気にコンセプトの仮案を作り、プロトタイプも作成し、翌週の議論の場に一式持っていった。

半ば呼ばれて参画したプロジェクトに対して、踏み込みすぎた行動だったかもしれないが、ここから事態は目に見えて好転していった。

コンセプトを打ち立て、現状を分析し、目指す姿と現状のギャップを発掘し、プロトタイピングを使って具体的に議論を進めるという流れができた。 プロジェクトメンバーからもあちこちで、岡本を評価する声が聞こえてきた。

…岡本がここまでの人材だったとは。青空プロジェクトで成長したのか、元々だったのかわからないが、とにかく生き生きと躍動する岡本が頼もしく見えた。

 

<了>

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