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プロジェクトマネジメント(PMO)サービスの具体的な進め方

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#03管理のための見える化をやめて、「コミュニケーションのため」の見える化を徹底する

プロジェクトの難しさは、目に見えない複雑なものを利害の異なる人々が集まって作り上げることにあります。
ケンブリッジでは、あらゆるものを見える化してコミュニケーションに活かしますが、ここでは新システムの機能要求を見える化する手法をご紹介します。

新システムの機能を整理する際、一覧表形式のシステム機能一覧を作成します。「作るべき機能」が並んでいる一覧です。

図表5 一般的なシステム機能一覧(作るべき機能が並んでいる)

しかし、ケンブリッジでは、「欲しいけど作らない機能」「欲しいけど次フェーズで作る機能」まで含めて一覧化するのです。FM(ファンクショナリティマトリクス)と呼んでおり、以下の図がFMの現物です。

図表6 (事例)FM(ファンクショナリティ・マトリクス)

1) 白抜きは作る機能
2) グレーは次フェーズで作る機能
3) 黒は作らない機能
を示しています。こんなふうに機能をマトリクス表であらわすメリットは3つあります。

メリット1 作らない機能についてキッチリ議論できる
一般的な一覧には“作る機能”しか記載しませんが、FMには“作らない機能”も含まれます。そのため、「リクエストされたけど作らない機能も含めて、ここに載っているものが全てです。この時点で漏れている機能があれば言ってください。」とコミュニケーションできます。「作る機能」ではなく常に「作らない機能」で議論が紛糾するため、この方式は大きな威力を発揮します。

メリット2 機能の優先順位(実現のステップ)がわかる
FMは“機能の優先順位”がついているので、「システム全体でこれだけの機能があります。とはいえ、段階的に実現していくので、まずはこの機能から作成します。来年時点ではこれだけの機能しかありませんが、業務まわりますか?」と時間軸を意識したコミュニケーションが可能になります。

メリット3 機能全体を俯瞰できる
一般的な機能一覧は証跡とすることを目的としているため一覧性など気にしませんが、FMは機能全体を俯瞰するため“一覧性”を高めています。実はこれが重要で、全体像が見えると心理的な安心感が高まるのです。常に全容が把握しやすい状態を作ることが、コミュニケーションのツボであり、この方式の狙いです。

ここまでやると形のない将来の姿がかなりイメージしやすくなり、後からちゃぶ台返しされることも激減します。