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組織・業務変革サービスの具体的な進め方

画像:コンセプト作り
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#02コンセプト作り

まず味方を探そう

どのような経緯であれ、業務改善の担い手になったからには、まずは改革を進めるための味方を探すところから始めます。味方といっても、社内の人材は多種多様です。ケンブリッジは、以下に気を付けて、味方を探すべき(または作るべき)と考えます。
既存の組織図や部署からの推薦に頼らず、改革気質を持つ社員を自ら探すこと。 改革気質とは「やる気と柔軟性を持った社員」「部署を超えた見方をできる社員」「生き字引であり過去に大きな改革を経験している社員」「しっかり不満を持っている社員」などを指します。自分の会社や仕事に真剣な人、と言い換えてもいいかもしれません。こうした人達は時に批判的な発言が多くなるケースもありますが、ケンブリッジでは「反対しそうな人」こそ、メンバーに引き入れてしまうことをお薦めしています。

トップ(経営者またはプロジェクトのオーナー)の支援を取り付けること。 改革にはトップの後押しが欠かせません。ケンブリッジでは必ずトップインタビューを行うようにしています。といっても、業務改善の方針や施策へのクールで具体的な助言を求めるのではありません。トップインタビューの目的は大きく3つです。
① 企業戦略や経営計画における業務改善の位置づけを明確にする
② 業務改善を進める上での制約条件を明確にする
③ ちょこちょこ相談に行ける関係性を構築する

トップにとって業務改善はあくまで管掌の一部です。そこにフォーカスした意見を期待するのではなく、全社視点でのインプットをいただきましょう。 また、最終的な意思決定は当然トップ判断です。それまで定期的な意見交換を継続することで、トップの思いとプロジェクトの思いが大きく乖離することを防ぎます。トップとしても「アドバイスしたプロジェクト」と捉えていただけるようになり、何かと目を掛けてくださるようになるものです。

「使えるゴール」作りで改革に魂を吹き込め

「振り返るとここ(ゴールを定めた事)が一番大事だった」と語るお客さまも多く、ケンブリッジ流の進め方の特徴的な部分でもあります。ケンブリッジ流ゴールの作り方には、3つのポイントがあります。

1. プロジェクトで使える
2. ステークホルダー全員が分かりやすい
3. やらないこと、後でやることまで書いてある

「環境変化に柔軟に対応」「業務標準化」などをゴールに掲げることは一見キレイに見えますが、ほとんどスローガンと言っても良いでしょう。抽象的で具体的に何をどうすればいいのかわかりづらいからです。これではせっかく作っても何にも使えません。 プロジェクトでの意志決定に使えるゴール、例えば限られた予算やスケジュールの中で厳しい判断を迫られたときに立ち返ることのできる「生きたゴール」を作ることが重要です。 例えばある人事業務の変革プロジェクトでは、このようなゴールを設定しました。

図表2 (事例)人事業務改善プロジェクトのゴール

プロジェクトメンバーで議論した結果、本当に様々なことが施策として挙がってきました。何を優先するのか議論した結果、まず基盤となるシステムと業務を整備することを第1ゴールに据えました。その上に乗るさらなる付加価値を生み出す業務は、基盤が整ってから整備しようと決めました。こうした決定を分かりやすく構造化したのが上の図です。再優先でやること、後からやることが一目みて明確であるのもゴールの重要な要素なのです。これがあれば、「今話しているのは上の付加価値業務の部分だね。後回しでよいのだからまず、基盤作りに集中しよう!」などと判断のよりどころになります。

コンセプトでゴールにイメージをつける

ゴールに現実味と迫力を持たせるのがコンセプトです。ゴールが「いつまでに何を実現するのか?」という目的地を示すものだとすれば、コンセプトは「どんな状態でゴールテープを切るのか?」という目指す姿を示すものだと言えるでしょう。

両方が揃って、初めて人は動きだせるのです。 古河電工の人事業務改善プロジェクトでは、「xx年までに新システムを稼働させ業務効率を30%アップさせる」というゴールを定めました。そしてコンセプトにあたるのが「ハブ&スポーク」という概念でした。新設するシェアードサービスセンターをハブとして業務が回っている状態を目指したのです。「ハブ&スポーク」を実現することでゴールを達成するというイメージです。

図表3 (事例)古河電工の人事BPRプロジェクトのコンセプト「ハブ&スポーク」

わかりやすいイメージで表したことで、「確かにハブ&スポークを実現すべきだ!」「ハブ&スポークなら、業務効率30%アップが実現できるかもしれない!」とコンセプトに共感してくれる社員の方が増え、プロジェクトの強力な推進力になりました。

泥臭い議論でゴール・コンセプトを絞り出す

このような「生きたゴールとコンセプト」を作るために、ケンブリッジではプロジェクトの初期段階で討議合宿を提案します。合宿では、様々な立場の参加者が、通常業務や職場環境、限られた会議時間などから解放され、腹を割って集中議論をします。

図表4 合宿の風景

合宿では、敢えて普段は当たり前すぎて議論しないような「そもそも論」を取り上げるようにしています。 「そもそもこのプロジェクトをなぜやるのか」「そもそも“営業の本来の役割”とは何か」「そもそも、なぜタブレットを持つ必要があるのか」など。議論してみると、参加者間で根本的な部分についての考え方の相違が表出することがあります。

根源的な部分でのすれ違いを放置すると、プロジェクトの中盤で大きな亀裂になることもあります。ケンブリッジのファシリテーションによって、合宿期間中にこうしたすれ違いを可能な限り見つけ出し、何を優先するのか、どんな価値観を大事にするのかを合意形成して、ゴールやコンセプトにつながりそうな種、現場の課題感を可視化していきます(実際には紙に書きまくります)。

図表5 (事例)そもそも論を取り上げる

全員で課題を棚卸すこともあります。複数の部署が関わる横断的なプロジェクトの場合は、お互いが抱える課題が見えていないこともしばしばあります。全員が一斉に課題を棚卸すことで、「案外同じ課題を抱えていた」や「全く知らない世界だった。他の部署の困り事が初めて実感できた」など、通常の業務では味わえない一体感や視野の高さを体感できます。

図表6 (事例)課題を棚卸す

ケンブリッジがサポートする集中討議では、紙でざっくりと議論し、細かい資料を作りません。なぜなら、あくまで討議の目的は大枠の方向性や価値観を擦り合わせたいのであって、資料の作成やレビューが目的ではないからです。ざっくり度合いのさじ加減は討議の参加者や内容によりまちまちです。我々も毎回頭に汗をかきながらサポートしています。

図表7 (事例)紙でざっくり