CASE
STUDYお客様事例
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社様

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)は、国内有数の大手 SIer です。国内外の多様な IT 製品を組み合わせるマルチベンダー型の提案力と、システムの構築・運用を支える技術力を強みに、幅広い業界の顧客を支えてきました。
近年は、システムインテグレーションの上流にあたる現状分析や要求整理まで支援を広げており、その担い手を育成するため、2025 年 11 月から 5 名の社員が「プロジェクトリーダーおよびプロジェクトチーム養成学校」(以下、養成学校)の Planning コースを中心に受講しました。
従来の事業を支えてきた人材を、どのように上流工程の担い手へと育てようとしたのか。養成学校の受講背景や、受講を通じて生まれた変化について、導入を推進した斎藤様と、受講者の三浦様、早川様に伺いました。

左から(所属・役職はインタビュー当時のものです)
斎藤 直哉 様(伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 モバイル&サービス本部 デジタルテクノロジー第 2 部 リードスペシャリスト)
三浦 遊太 様(同 モバイル&サービス本部 デジタルテクノロジー第 2 部 キャリアビジネス技術第 2 課 主任)
早川 浩子 様(同 モバイル&サービス本部 デジタルテクノロジー第 2 部)
#01顧客ニーズと競争環境の変化を受け、上流工程まで支援範囲を 拡大

上流コンサルティングのサービス範囲
| システムインテグレーションの上流へ支援範囲を広げた背景を教えてください。 | |
|---|---|
| 斎藤 | 2010年代後半ごろにお客様のニーズが変わり始めたのが大きな要因です。それまでCTCはITプロダクトの販売とシステムインテグレーションの2本柱を主な事業としていましたが、「わが社のITインフラ設備やシステム運用、将来IT構想のための要求整理などはできないか」と問われることが多くなっていました。背景には、それまで積み増してきたITインフラ設備やシステム運用を、「持たざる経営」といったトレンドや自社の経営状況に合わせてスリムにしていきたい、という時代的要請が大きかったように感じます。 |
| CTCの中期経営計画にも上流支援に関する記述がありました。 | |
| 斎藤 | 2023~2025年度の中期経営計画に基づいて「ビジネス変革への挑戦」を掲げ、IT企画・構想を提供するコンサルティングビジネスの推進に着手していました。 また近年、もともと上流工程を得意としていたコンサルティングファームがシステムインテグレーション・運用までサービスの幅を広げていたこともあり「従来と同じように設計・開発から案件に参画する、というスタンスでは、ビジネスの幅が狭まっていくのではないか」という危機感が社内に醸成されていました。 これら、お客様の声、経営の判断、外的環境の変化など、さまざまなことを踏まえ、上流コンサルティングを専業とするチームを立ち上げました。サービス範囲は、現状分析や要求整理、さらに「どのようなシステムアーキテクチャにより顧客課題を解決できるのか」という企画・構想を練るところまで、つまりRFP作成の一歩手前まで、としました。 |
#02実践に裏打ちされた「型」でマインドチェンジを促す

作成した上流コンサルタントに求めるスキル定義と現在のレベルのマッピング結果
| 上流コンサルティングチーム立上げをどのように進めましたか? | |
|---|---|
| 斎藤 | 以前から長期にわたって支援してもらっていたケンブリッジと、上流工程の業務設計、案件獲得活動、人材育成、コンサルティングの実案件を通じたノウハウ蓄積、計4つの領域に分けて、事業計画を策定しました。 人材育成については、まず「CTCの上流コンサルタント」に求められるスキルの定義から行いました。情報処理推進機構(IPA)のデジタルスキル標準(DSS)を用いて、上流工程を推進できる人材に必要なスキル項目を抽出し、上流コンサルティングチームにアサインしたメンバーの実情に合わせて5段階にレベル分けしています。 |
| 人材育成の一環として「ケンブリッジの養成学校」を受講いただきました。 | |
| 斎藤 | はい、Planningコースの全カリキュラムと、FoundationコースからCTCの上流スキル定義に合致するいくつかのカリキュラムを選んで受講しました。現役コンサルタントの実践に裏打ちされた方法論や技術を学べる機会はなかなかありませんし、特に、Planningコースで、大量の演習と宿題で手を動かしながら上流工程の進め方の型を体系的に学べることが魅力でした。 |
| 受講メンバーは、どのように選びましたか。 | |
| 斎藤 | 従来のプロジェクトマネジメントの知見を生かしつつ、新たな考え方を柔軟に取り入れられるメンバーを選びました。CTCには、PMP(Project Management Professional)や、社内のQMS(Quality Management System)に基づいたプロジェクトマネジメントを得意とするメンバーがたくさんいます。もちろん、その素養が身についているのは良いことですが、上流工程の支援には、大きなマインドチェンジが必要です。 例えば、システムインテグレーションの現場では、お客様の要件をヒアリングして正確に実装することが良しとされます。しかし要件が固まっていない上流工程では、「お客様の要望をそのまま形にするだけでよいのだろうか」「だとするとこうしたほうがいいのではないか」と、お客様の真の課題やあるべき要求を引き出していく必要があります。またお客様にこうした議論を仕掛けていくためには、構築の現場よりも、より頻繁に、かつカジュアルにお客様と接点を持つ必要があります。考え方も動き方も大きく変わるのです。 |
#03従来の「プロダクトありき」の思考を脱し、「顧客課題起点」の思考へ

研修で真剣に議論するCTCの受講生の皆さん
| メンバーに選ばれた三浦さん、早川さんは、受講してみていかがでしたか。 | |
|---|---|
| 三浦 | 当初は、通常業務に加えて養成学校を受講し、宿題もこなさなければならないとわかって、「どうやりくりしていくべきか」と頭を抱えました。ただ、受講後すぐに、これまで自己流で進めていた上流工程に再現可能な「型」があることが分かり、「これはきちんと学ばなければならない」と気持ちを切り替えました。また「何とか研修に引き込もう」という講師陣の熱意に打たれました。名前を覚えて声をかけてくださり、質問にも講師自身の経験や知見に基づいて回答してもらえたのが印象に残っています。 |
| 早川 | 私は、これまで現業でうまくいかなかった原因が、授業の中でクリアに言語化できたのが大きな収穫でした。 特に印象に残っているのが、ゴール・コンセプト(Concept Framing)の授業です。受講する前年度に、思うように進まなかった案件があったのですが、ゴール・コンセプトを決めていなかったことが原因だったのだと腑に落ちました。毎回「どちらがどう言った」という議論になっていましたが、ゴール・コンセプトがあれば、ランドマークのようにそこへ立ち戻って考えられたはずです。 また、案件が進んだ後になって「これはやってくれないの」という話が出てきたときに断れなかったのも、最初に「やらないことを決める」ことができていなかったからなのだと気づきました。 |
| お二人とも、ご自身の経験を捉え直す機会になったのですね。斎藤さんは、メンターとしてどのように参加していたのでしょうか。 | |
| 斎藤 | 毎回の授業だけでなく、受講メンバーが宿題について議論する個別の打ち合わせにも出席し、コメントしていました。私自身「とりあえず研修を用意したから、あとは受けておいて」などというつもりはさらさらなく、組織として本気で取り組んでいるのだと知ってもらいたかったのです。 |
| 三浦 | 斎藤さんがそこまで本気で参加してくださった分、私たちも手を抜けないなと思いましたね。「プロダクトありきで考えるな」と本気で指摘してくださったのをよく覚えています。 |
| 斎藤 | 受講メンバーが自分たちで研修を通して取り組む課題を設定する場面があったのですが、設定した課題から、CTCが扱っているプロダクトに繋げようという思惑が最初から透けて見えていたのです。私が学んでほしかったのは、お客様の課題を起点に、さまざまな仮説を立てて検証していき、真に課題解決につながる施策を提案すること。それこそが求めていたマインドチェンジだったので、軌道修正の意味も込めてコメントしました。 |
#04学びがチームから部内へ広がる

ノーミングの概要説明
| 受講を終えられた現在、実際の業務を進めるうえでの成果、変化を教えてください。 | |
|---|---|
| 三浦 | 養成学校の初回の授業で教わった、チームビルディングの仕掛け「ノーミング」を、早川さんと一緒に推進している案件で実施しました。年度が変わって新たなメンバーが加わったので、お互いを知り期待値を交換すればチームが早く立ち上がるだろう、と考えたのです。 |
| 早川 | 後から加わったメンバーは、業務上わからないことばかりなのに、面識がないため周囲に質問しづらいものです。一度、「自分はこういう人で、こういうことをやっています」と共有できたので、業務を進めやすくなったと感じますね。 |
| 共通の学びがあるからこそ、新たな取り組みもスムーズに進められている印象を受けます。 | |
| 三浦 | 同じインプットがある分、阿吽の呼吸というか、お互いに何をしようとしているのか、すぐにわかるというのはあります。「こういうふうに進めてみようか」と相談すると、「あれね」「やってみよう」と、すぐに話が進むことが多くなりました。 |
| 早川 | 例えば、資料を大量に作成しなければならないことがあるので、養成学校で学んだように、まず資料作成のゴールを作り、それを伝えるストーリーを考えるところから始めています。三浦さんが資料をみて、学んだポイントをふまえてストーリーを意識したフィードバックをしてくださるので、助かっています。 |
| 斎藤 | こうしたスキルを部内の他メンバーにも広げるため、最近、提案書の作成を支援する取り組みを始めました。どうしてもプロダクトアウトの提案書を書いてしまう社員が多いため、受講した二人がお客様起点のストーリー構成をガイドしながら、一緒に提案書を作っていければと考えています。 重要なのは、養成学校が終わってから、ノーミングのチーム内実践などを私からはお願いしていない、ということです。自分たちで自律的に工夫して動き始めてくれているのは、大きな成果だと思います。チームとしてもまとまりが生まれ、楽しく動けるようになっているのだとしたら、うれしいです。 |
#05強みと実績を積み上げ、自ら案件を生み出せる組織へ
| 最後に、今後の目標や展望をお願いします。 | |
|---|---|
| 早川 | 新しい案件が始まったので、養成学校で学んだことを活かしていきたいです。そのためにはまず、学んだ内容を自分の中でもう一度整理し、しっかりと理解する必要があります。それができて初めて、ほかの社員にも伝えられるようになると思っています。 |
| 三浦 | 上流コンサルティングチームが立ち上がってしばらく経ち、今は成果を出すフェーズに入っています。そのためにも養成学校で学んだ型を実案件で着実に実践し、それぞれの案件を成功に導きたいです。 |
| 斎藤 | まずは、本部組織内において本コンサルティングチームの認知度を高め、社内から案件の相談や紹介が集まる状態を目指したいです。また、「何でもできます」では、かえって強みが伝わりにくくなります。業界知識にせよIT技術にせよ、チームとして明確な強みを改めて言語化していくつもりです。そうして地道に認知・実績を積み重ねていくことで、やれることを増やし、成果を生み出すチームにしてきたいですね。 |
| 本日は、貴重なお話をありがとうございました。 | |