CASE
STUDY
お客様事例

株式会社福田屋百貨店様

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「福田屋ショッピングプラザ宇都宮店」をはじめ、大規模ショッピングセンターを栃木県内で5店舗にわたって展開する福田屋百貨店は、2005年6月、ポイントカードシステムを刷新。

同社システム管理室課長野尻和夫氏は、「当社では常にお客様のニーズに合ったサービスの提供に力を入れています。今回、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズとともにプロジェクトを推進し、利便性の高いポイントカードシステムを6ヶ月で構築することができました。社員の参加意識を高め、各部署と密接に連携しながらも迅速にプロジェクトを進めた点が成功につながったと評価しています」と語る。

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#01プロジェクトの背景

10年以上前に導入されたポイントカードシステムを見直し、 お客様の利便性を高めるシステムに強化。

福田屋百貨店は1934(昭和9)年の創業以来、北関東有数の名門百貨店として幅広いお客様に支持されている。2005年7月現在、栃木県内で5店舗を展開しており、近年では時間消費型ショッピングセンターとして成功を収めている。福田屋百貨店が、ポイントカードシステムを導入したのが1994年。以後、順調にポイント会員を増やし、現在では約46万人の会員が利用するカードに発展した。

「ポイントカードを導入して10年が経過しましたが、ポイント加算がバッチ処理のままで、当日大きな買い物をしたお客様がそのポイントを利用したくても、翌日以降まで待たなくてはなりませんでした。また、ポイント券への交換を行えるのは、各店舗内のサービスカウンターのみでした。さらに、2005年4月の個人情報保護法の施行も控えていたため、思い切ってポイントカードシステム全体を見直すことにしました」(野尻氏)

そこでパートナーとしてプロジェクトに参画したのが、ケンブリッジである。「他社からも提案は受けましたが、ケンブリッジは小売業全体が抱える問題だけでなく、現場対応によるルール適用のバラツキ是正など、福田屋百貨店特有の課題まで深く掘り下げた提案でした。この点を評価し、プロジェクトのパートナーとしてケンブリッジを選定しました」(野尻氏)

#02評価ポイント

独自のメソドロジーによるプロジェクト推進力と関連部署を巻き込んだ合意形成の実現。チェックポイントの実施により、若手社員の参加意欲も高まる。

2004年12月13日、プロジェクトはスタートした。翌年1月末までの6週間のScope(要件定義)フェーズで、現在の業務/システムの現状把握と、新ポイント制度のルール/業務プロセスの策定、新システムの機能要件、技術的方針を定義。また個人情報保護法に準拠した社内の顧客情報管理方針を定義。その後2月から6月までの4ヶ月間でDesign(設計)、Development (開発)、Rollout (移行・導入支援)を行い、2005年6月、予定通り新システムとしてサービス提供の日を迎えた。

「プロジェクトが始まり、まずケンブリッジ・メンバーのプロジェクトの進め方とそのスピードに驚きました。また、システムの仕様定義にとどまらず、業務の流れまで詳細に把握した点も、コンサルタントとしての資質の高さを感じました」(野尻氏)

全社レベルの大きなプロジェクトでは、関係者間の意見調整だけで多大な労力を要するが、ケンブリッジ・メンバーは、自ら調整役を務めることで、迅速・確実にプロジェクトを推進していく。今回も、要件定義の段階から営業部門や販促部門、経理部門など多くの関係部署を巻き込み、密接に意見交換を重ねながらもスケジュールに遅れることなくプロジェクトを進めていった。

「進捗確認のために毎日行う『チェックポイントミーティング』がとても印象的でした。誰もが自由に発言する機会を与えられるこのミーティングは、作業の取りこぼしを防ぐだけでなく、全員の参加者意識を高め、若い人に主役となって進めてもらいたいという私の思いを適えるものだったからです」(野尻氏)

#03プロジェクトの効果

個人情報保護法への先行対応
ポイントシステムのリアルタイム化による利便性の向上
従業員教育への積極的な参加によるスムーズな新サービスの立上

新ポイントシステムのサービスインに先立ち、2005年4月から施行される個人情報保護法への対応を行った。ポイント会員約款や、顧客情報の管理体制に関して、関係部署と共に検討を進めた。また、新システムにおいても、個人情報保護法に適合するように、業務プロセスを設計した。

プロジェクトは予定通りに進行し、6月にサービスインを迎えた。システム面の最大の変更は、それまでバッチ処理を行っていたポイントシステムをリアルタイム化することで、常に最新のポイント残高を店内の各レジで確認できる点である。ポイントの利用も各レジで実行できるため、その都度サービスカウンターまで出向いてポイント券に交換する手間が不要になった。これにより、ポイントカードを利用するお客様の利便性が大幅に向上した。

さらに、返品時の対応を今回のシステム変更でルール化したことも大きな改善点である。それまで現場に一任されていた返品時のポイントの取り扱いも、オンライン化に伴い正確に削除することができる。そしてそれがマニュアル化されたことで、売り場や担当者によって対応が異なるという不明瞭な事態を防ぎ、百貨店として説明責任を果たすインフラが整った。

また、新システム導入前の教育への参加率や満足度もかつてないほど高まり、それが、サービス開始後の順調な稼動に貢献した。

「今回のプロジェクトでは、教育に関してもケンブリッジのノウハウを活用して実施しました。当初は売り場の責任者レベルを集めて行うつもりでしたが、回を追うごとに『資料が欲しい』、『参加させて欲しい』という要望が増え、各店舗へ2巡の予定が、結局4巡することになりました。これだけ参加者の多い教育は初めてです」(野尻氏)

#04今後の展開

マーケティング精度を高め、百貨店としての競争力・収益力の向上を目指す。

導入から1ヶ月を経た現在、危惧していた大きな混乱もなく、新システムは順調に稼動している。業務負荷やシステム運用負荷が軽減されたほか、個人情報保護法への対応も万全と言える。単品単位でのポイント設定も可能になったことから、メーカーとタイアップし、よりきめ細かいマーケティングキャンペーンなどを実施可能となった。

「システムのリアルタイム化によるお客様へのサービス向上や、きめ細かいマーケティングを実現する基盤構築を予定通り6ヶ月で実現でき、非常にうれしく感じています。百貨店を取り巻く状況は決して楽観できるものではありませんが、だからこそ、この基盤を生かし、集積したデータを質的にも量的にも分析して活用し、福田屋百貨店ならではの差別化を図っていきたいと考えています」(野尻氏)

※この情報は2005年6月現在のものです。

このプロジェクトを成功に導いた
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