本セミナーは「絵に描いた餅で終わらせないプロジェクト」と題してITプランニングからプロジェクト実行のために必要なファシリテーション力についてお客様の事例を交えて講演をさせて頂きました。
今回は、2つの講演についてレポートします。
経済が厳しい局面を迎える中、企業は様々な改革を進めなければ新たな成長は期待できない。業務改革やIT活用の重要性は従来以上に高まっているといえる。このような状況下、企業変革の取り組みのファーストステップである企画フェーズをいかに成功に結びつけるのか、実践的な極意を4つのキーワードを軸に事例を交えて紹介した。
1)逆算に徹せよ
企画にどれだけ時間をかけても、実行に移さなければ効果は得られない。企画フェーズを短期間で最善の結論に導き出すための、逆算によるスケジュール作成のテクニックと、課題や施策を結論から考える仮説検証アプローチを事例とともに紹介した。
2)改革は現場に宿る
改革とは現場の働き方を変えること、その変化の原動力は「人」であり「モチベーション」。現実性の高い企画には現場の巻き込みが必須となる。現場を巻き込むための実践的ノウハウを紹介した。
3)納得感を高めよ
企画を実行に移すには投資の妥当性を示し、関係者の「納得感」を高める必要がある。経営者を始め社内関係者の納得感を高める投資対効果の分析手法や効果の訴求ポイントを紹介した。
4)ファシリテーション力
1)〜3)を実践する上で、企画チームに必要となるスキルとしてファシリテーション力があげられる。ファシリテーション力とは会議などの場をデザインするスキル、意見やヤル気を引き出すスキル、様々な情報を構造化し整理するスキル、整理された情報をもとに合意形成や意思決定を促進するスキルが必要となる。
経済環境が厳しく危機意識の高いこのタイミングこそ、将来を先取りするような改革に取り組むべきである。またそのファーストステップである企画フェーズの質を高め、企画が絵に描いた餅にならぬよう、確実に実行に移して成果をあげて欲しい。
日本ユニシスは2004年に開始したグループ10数社、15,000名のアカウント管理基盤(Usagi)の構築プロジェクトでケンブリッジと協働した。
当プロジェクトは、数十にも及ぶ各社ステークホルダーとの調整や混成チームによるプロジェクト遂行の難しさを乗り越え、2005年9月(フェーズ1)および2008年5月(フェーズ2.3)にカットオーバーした。
混成部隊をOne Teamとしてまとめるコツとしては、プロジェクトメンバー全員の「ファシリテーション力の総和」がチームの成熟度・生産性、一体感を高めると考えている。ファシリテーションとは以下の3つの領域をコントロールすること、と考えてみたい。いずれも等しく重要と考えている。
1)目的・ゴール
プロジェクト内での個々の活動は全体の目的・ゴールに整合しているか、あるいは時間の経過によって「軸のぶれ」が生じていないかを確認する。
Usagiでは、目的・ゴールを「図示できるまでに明確化」すること、判断基準として活用すること、繰り返し確認すること、などによってメンバーの「腑に落ちる」までの浸透を図った。
2)道具(プロセス・ツール)
目的・ゴールを達成するために、最も有効かつ効率的なツール・プロセスの調達や、改善を行う。
チームの一体感を高める上で、メンバーの物理的な距離が近いことにも拘った。
また、プロジェクトの状態が目に見えることも大切である。フリップチャートに課題やアクションアイテムを書き出すことでプロジェクトの状態が外部にも見え、チーム内に良い緊張感を生み、未解決の課題も可視化される。
モノ・概念・アクションに名前をつける工夫もコミュニケーションの効率化につながる。
3)雰囲気
チーム内の雰囲気も、チームの生産性や品質に直結するため、積極的にコントロールを図る。期日を守る、言うべきことは言う、といった良い緊張感と、リラックスした雰囲気が両立していることが肝要である。
Usagiでは、毎日のチェックポイントで進捗や課題を共有するとともに、アイスブレイクを取り入れてリラックスした雰囲気を演出した。また、チェックポイントのファシリテーターを持ち回りで行うことで、すべてのメンバーが楽しみ、そして成長できたと思える雰囲気づくりを心がけた。
写真やビデオでプロジェクト活動を記録したり、ときには遊び道具で気分転換を図るなど、困難の中にも楽しい雰囲気を取り入れた。
One Teamとは、ともに汗を流し、ともに喜び、ともに祝う存在である。