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お客様事例

全農物流株式会社様

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全農物流株式会社(以下、全農物流と呼ぶ)では、2010年2月に人事システムの再構築プロジェクトを立ち上げ、2011年8月に新システムを無事稼動されました。
今回、新システムの稼動から1年を経過し、あらためてプロジェクトのコアメンバーであった井上氏(総務部(当時))、佐藤氏(情報システム部)、 竹内氏(同部システム開発課課長(当時))、そして現在新人事システムを運用されている菅野氏(総務部)にプロジェクト全体について振り返っていただきました。

対談収録日 2012年7月6日

#01プロジェクト発足の背景とケンブリッジを選んだ理由

プロジェクト発足の背景

プロジェクト発足の背景をあらためて教えていただけますか?
佐藤氏 そもそもはハードウェアの保守切れが迫っていたことです。その中でハードウェア更改だけでよいのか?との社長の問題提起がきっかけでした。
竹内氏 全農物流は度重なる合併で規模が大きくなりましたが、バックオフィスのシステムは会社の規模が小さかった頃のものをそのまま運用していました。社長は、会社の今後の発展にはバックオフィスの基盤をしっかりさせる必要があると考えていたのだと思います。
佐藤氏 まず情報システム部にて、当社の親組織でもあるJA全農やいくつかのERPパッケージベンダーから人事システムの最近のトレンドを収集するとともに、不明点を総務部に確認しながら模造紙に付箋紙を使い約1ヶ月かけて現行業務のフローを作成しました。
そのあたりの調査は、後々役に立ちましたか?
佐藤氏 今時のERPパッケージはどれも現行システムの機能を網羅していることがわかりました。また、現行システムの機能が少ないという声があったのですが、実は全機能の3割ぐらいしか使っていないことがわかり、本当に大きなシステムを導入する必要があるのか?という議論も出ました。
竹内氏 最初から現行システムの焼き直しを到達点にしてしまうと、それ以上には絶対にならない、お金をかけるからには議論の上で一番高いところを目指して考えたい。そういうドライバーが働かないと議論が発展的な方向に進まないと考え、コンサルティングサービスの活用を検討することになりました。
白川 そういったことをお客様の中で検討しないまま私共コンサルティング会社が入ると、お客様が私共の意見に全部流されてしまう傾向にあります。現行の業務フローや現行システムの機能の利用状況など、お客様自身が実感を持っているのはとても大切なことだと思います。
ケンブリッジを知ったきっかけを教えていただけますか?
竹内氏 私が情報収集の一貫としてケンブリッジのセミナーに参加したのがきっかけです。その中で古河電気工業株式会社の関様が説明された事例(※)によるプロジェクトの進め方に感動しました。関様の説明にあったような、組織のヒエラルキーに縛られることなく組織を越えた活発な意見交換ができるようになれば全農物流にとってプラスになるのではと思い、ケンブリッジに声をかけました。
佐藤氏 最初に会ったときに、ケンブリッジは「我々のスタイルはお客様と一緒に汗をかいてプロジェクトを進めていきます。」と話してくれました。プロジェクトの経験があまりない人などは、雰囲気に呑まれて、あのときこう言いましたよね?判子を押しましたよね?といわれて泣き寝入りしてしまうようなことがあると思います。コンサルティング会社に食い物にされるよりは、規模が小さくても考え方がしっかりしていて、私達と同じ目線で支援してくれるのであればやっていけるのではないかと感じました。

※古河電工グループ人事BPRプロジェクト:グループ26社の人事業務を集約し、28種の人事システムを1システムに統合。ケンブリッジは構想策定から稼働までを一貫して支援。

#02想いを込めた施策と短期間の意思決定

現行調査を通じて業務を見つめなおし、想いを施策に落としこむ

白川 プロジェクトが始まり、現行調査のため、本社、および県支店の担当者の方から色々とヒアリングをさせていただきました。印象に残ったのは、県支店毎で制度が全然違うということと、本社総務部の担当者は異動してきたばかりの方が多い中で井上氏、菅野氏が手厚くフォローしてなんとか人事業務を回しているということでした。ヒアリングではどのような感想をお持ちになりましたか?
井上氏 普段自分達の業務を振り返る機会がなく、皆日々の業務に追われている中、我々が当たり前と思っていたことを、ケンブリッジが「え、そんなことをしているのですか?」と驚くことがありました。そのようなやりとりを通して、一般の会社での人事業務ではどういうことをしているのか、ということを学習できたと思います。

またどこの県支店も、二重作業がなくなることを期待しつつも、本社から多くの仕事が降りてくるのは止めてほしいという想いがあることがわかりました。

白川 本社と各県支店からひととおり現行業務をヒアリングし、その後調査、分析して課題を洗い出しましたが、その過程で改めてわかったことはありますか?
井上氏 おぼろげながら思っていたことが整理できて改めて課題と認識したことが多かったですね。算定の仕方などが一般的な方法と違っていたことや、申請届出のプロセスの中に無駄があることをケンブリッジの指摘で気付くことができました。
白川 その後、洗い出した課題に対して、1ヶ月かけて11個の施策を練っていきました。今思えば施策検討にかける議論を端折ればよかったとか、いやもっと深堀しておけばよかったということはありますか?
井上氏 深堀しても中々先に進まないと思いました。だからといってさらっと進めてもよいのかとも思いましたし、そのさじ加減が難しかったですね。
白川 さじ加減については正解がないので、いつもお客様と議論しながら進めています。お客様の中にはこの時点で細かい検討を望まれる場合もありますが、ここであまり細かく検討しても、この後でシステム設計に落とし込む際に無駄になってしまうこともあります。この時期であればこの程度の粒度に留めておいたほうがよい、という我々の経験上の知見に全農物流様が賛同してくださったのはとても助かりました。

#03パッケージ選定と短期間での意思決定を求められたプロトタイピング

白川 取り組むべき施策が決まり、その実現のためのパッケージ選定では現行システムのバージョンアップ、国産ERPパッケージも候補に挙がりましたが、最終的に外資系ERPパッケージを選定されました。
井上氏 総務部だけで選定していたら国産ERPパッケージを選んでいましたね。ただ、会計業務で既に外資系ERPパッケージを導入していたので、人事も同じにすれば保守費用が安くなり全社としてメリットがあるということは、議論していく中で納得しました。
白川 そしてシステム構築が始まり、プロトタイプ、つまり仮組みしたものを基に稼動後のイメージを固めていきました。
井上氏 このフェーズは結構進みが早くて戸惑いました。プロトタイプを次から次へと見せられて、質問にその場で私一人が答えていかなければならない。ここで話したことはもう後で変更できないのか、という不安感がありました。とても辛かったです。
白川 数週間かけてプロトタイピングを行いましたが、1業務あたり1回数時間のセッション、例えば入社業務の仕様を4時間で決めていくわけですから、確かにスピード感はあったと思います。お客様の立場だとある程度不安と戦っていただく必要がありますが、私共はそれに対しこの時期のさじ加減はここまでですと言わなければいけません。そういうところはプロジェクトとして難しいところですね。

#04システム稼動で苦労した点とプロジェクトを通じての成長

苦労したデータ移行、全従業員の人事情報を総点検しシステム稼動へ

苦労したデータ移行、全従業員の人事情報を総点検しシステム稼動へ
白川 新システムを稼動するにあたってはデータ移行がポイントとなりました。人事制度が複数並存していますので、同じ項目でも8種類のフォーマットがあったり、紙で管理している情報を電子化したりなど、相当大変でしたね。
井上氏 合併県支店の合併前の情報も含め過去の情報全てを移行するという方針でしたので確かに大変でした。しかし、データ移行後に従業員台帳を印刷し人事情報がしっかりと掲載されているのを見て苦労が報われたと実感しました。 
白川 データ移行完了後に、社長から従業員台帳を社員全員に配り社員に赤入れしてもらうよう指示が出ましたが、あれは英断だったと思います。新システム導入では業務効率化といった華やかな部分もありますが、データ移行を泥臭くやりきることも大事だと思います。従業員台帳に掲載されている情報は絶対正しいと言えることは重要ですね。

いよいよ新システム稼働ということで操作説明会を実施しました。説明会の後、本社、および県支店から新人事システムに多く要望が寄せられましたが、社長の指示もあり、それら要望すべてに返答しました。要望を聞きっぱなしにしなかったことにより、新システムに対する担当者の理解や協力が得られたという面もあると思います。

プロジェクトを通じての成長
白川 さて、新システムが稼動してから1年経とうとしていますが、あらためてプロジェクトを振り返っての感想はありますか?
佐藤氏 ケンブリッジ流のプロジェクトの進め方は新鮮でした。例えばプロジェクト目標を常にずっと意識しておくという考え方は今でも染み付いています。実は現在別のシステム構築を担当しているのですが、そこでもプロジェクト目標を常に思い出せるように自分が使う色々な資料全ての裏表紙に貼ってあります。こうすることで、どんな打合せに出ても必ず目的に立ち返れることができ、意思決定の拠り所として役に立っています。
井上氏 総務部はこれまで担当業務について周りと相談せずに自分の中で閉じて進めていたのですが、新人事システムプロジェクトを通じて、みんなで議論しながら課題を解決していこうという考え方に変わってきました。それが一番よかったと思います。
菅野氏 今でも毎日昼の1時から担当者が集まり、課題の共有と進捗状況の確認をしています。
井上氏 個人的には、今までは問題が出たら頭の中でもやもやしたままだったのですが、このプロジェクトを通じて課題をシンプルに捉えるというやり方を学び、それは今でも仕事に役立てています。
竹内氏 井上さん、佐藤さんの話を伺うと、プロジェクトが始まる前の頃と比べて言うことが変わったなと思いました。ちょっとしたきっかけで人は変わるということを広めて、目標を高く持ち続けていけば、会社はもっとよくなるのかなと思います。

このプロジェクトを成功に導いた
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