お客様事例Our Success

一般社団法人宿毛市観光協会様

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一般社団法人宿毛市観光協会は、2009年に宿毛市のマリンレジャーを核とした交流人口の拡大と地域を活性化することを目的に設立されました。

宿毛市の魅力を内外に広く知らしめていくために、2016年に地域創生加速化交付金の採択事業として「すくもまるごと商社プロジェクト」を立ち上げ、ケンブリッジ支援のもと2017年3月にアクションプランを策定しました。

今回は、PJマネージャーを務めたケンブリッジ森下とともに、PJ責任者である宿毛市観光協会会長の秋澤様、プロジェクト関係者の宿毛市役所の大塚様、宿毛4Hクラブの吉岡様、西和コンサルタントの依岡様、菱田ベーカリーの菱田様に参加頂き、多種多様な関係者と共にアクションプランをまとめ上げた成功のポイントについて振り返って頂きました。

――最初に宿毛市の概要についてご紹介頂けますか。

 

大塚:宿毛市は、高知県西南部「幡多地方」に位置する人口約2万人の自治体です。自然豊かな土地柄から魚や野菜などの一次産品が豊富で、それらを活かして釣りやダイビングスポットとしても有名です。
実は、早稲田大学建学の母とも呼ばれている小野梓や、建機の大手メーカーコマツの創設者竹内明太郎の出生地であり、また吉田茂の実家があるなど、著名人を輩出したまちでもあります。

 

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――「すくもまるごと商社プロジェクト」発足の経緯を教えて頂けますか。

 

秋澤:宿毛市は豊富な一次産品と、釣りやダイビングで知られているものの、それら地域資源を活用する事業者の多くは小規模のため経営資源の制約から、顧客ニーズの多様化に十分に対応できていない状況です。
また、若年層の市外流出によって地域経済は縮小を続けています。こういった背景から、地産外商を推し進め、雇用創出・地域経済活性化を図ることが喫緊の課題となっています。
そのような中、宿毛市観光協会が、地域資源や地元の小規模事業者を有機的に連携させ、販路を開拓する地域商社的な役割を担い、脆弱な財政基盤を改善して自律的に発展していくことを目指し、本プロジェクトを立ち上げました。

 

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熱い想いを地方創生のビジョンに落とし込む

――プロジェクトではまず、宿毛市の30年後のビジョンを策定するところから始まりました。

 

秋澤:まずは宿毛市の様々な方をお呼びし、宿毛市の未来の絵を描くところから始めました。宿毛市観光協会だけでなく、市役所職員、商工会議所、青年会議所、事業者、高校生など多種多様な方々が集まり意見交換をしました。それらを整理・構造化し、ビジョンステートメントに仕上げていきました。
ビジョンステートメントを作成していく過程で、宿毛市の強みである一次産業をどう活していくのかが論点であることが次第に明らかになりました。そこで改めて一次産業の皆様を集めて宿毛市の将来について話し合う場を設けました。

―― 一次産業のどのような方々と話し合ったのですか?

 

秋澤:宿毛市の将来を担う、熱い想いを持つ若手の方々に集まってもらおうと思いまして、水産業従事者や、宿毛4Hクラブ、すくも文旦育成会など、宿毛市で有志が集まり自主的に活動している団体に参加して頂きました。
例えば、宿毛4Hクラブは、自分たちの食材を地元で食べてもらいたい。農業を知ってもらいたいという目的のもと、20代後半から30代前半の農業従事者を中心に集まった有志の団体です。病院食、学校で食育。地元でお料理教室などを企画するなど、想いの強い人たちが集まっているとお聞きし、是非お呼びしたいと思っていました。

 

森下:宿毛市の一次産業、例えば農業で言えば、宿毛市の農業が全国、高知県にくらべてどういう特色があるかを確認しました。その後、個別に作物別に強みとか、どんな工夫をしているか、どんな課題があるかを確認しました。
その後、既に仕上げたビジョンステートメントを説明したところ、一次産業の保護・発展のイメージにギャップがあるという率直な意見を聞かせてもらえました。そこで、これまでの宿毛市の農業で取り組んだことや難しかったところ、今後やっていきたいことを伺い、ビジョンステートメントを見直していきました。

 

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――「よそ者」のケンブリッジが宿毛市に入り込み、関係を作っていくためにどのようなことをしたのでしょうか?

 

秋澤:正直言って、主に大企業を相手にコンサルティングサービスを行うケンブリッジが、地方創生の事業創出をどうやって進めていくのか?という不安はありました。
企業相手だと、会議はこう進めていきましょう、というとそのとおり進むかもしれませんが、多種多様なステークホルダーを相手にする地方創生プロジェクトではそう上手くはいかないことが多い。

 

森下:プロジェクトが始まった頃に、確かにそういった場面に直面しました。私共ケンブリッジは企業に対しコンサルティングする場合、原則として会議を通じて関係者と課題解決や意思決定を進めていきます。会議招集はeメールで依頼をすれば、参加者は決められた日時に集まってくださいますので、今回も当然のようにeメールで会議開催通知をしました。

 

足を使って情報を集める、現場の皆さんとの関係を築く

森下:ところがメールを送っても返信がない。電話をしてもつながらない。いち企業の中でプロジェクトを進めるのとはちがい、市職員から農業、漁業、サービス業まで様々な業種・業態の方々に集まって頂くには、コミュニケーションのやり方を根本から見直さないとダメだと気が付かされました。
連絡がとれないのなら、自分から出向くしかない。メールがダメならSNSを使うなど、その人に合ったコミュニケーション手段を取るしかない。そうやって、市役所の色々な部署や島、民宿、学校、農家など地元の声を伺いました。

 

秋澤:宿毛市は東京から飛行機と電車で5時間かかる、いわば東京から沖縄へ行くよりも遠い場所です。そんな遠隔地にもかかわらずケンブリッジの皆さんは何度も足を運び、宿毛市の皆さんとの対話を粘り強く続けていった。なので宿毛市のメンバーからもしっかり信頼されて、プロジェクトを進めていけたんだと思います。

 

森下:聞き込み調査はケンブリッジ内藤が中心となって取り組みました。内藤は当時まだ新卒でケンブリッジに入社したばかりでしたが、学生のときに研究活動の一環でフィールドワークをした経験があり、足を使った聞き込み調査では活躍してくれました。
実はケンブリッジのメンバーは私も内藤も20代でして、こんな若造を宿毛市の皆さんが受け入れてくれるのか不安でした。

 

秋澤:地元では熱意のある若者が宿毛市のいろいろなところに回っているという噂が立っていましたよ(笑)

 

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森下:一次産業の皆さんとは打合せの後、夜遅くまでお酒をのみ深夜まで熱く語り合いおおいに盛り上がりました。参加頂いた皆さんからは「正直ここまで付き合ってくれると思わなかった。」という感想を頂きました。個々に合わせた密なコミュニケーションが、今回のプロジェクトの成功要因だったように思います。

――様々な方々とコミュニケーションをとりビジョンを作り上げるのは大変だったのではないでしょうか。

 

森下:宿毛市副市長からは地元の人たちを巻き込んでビジョンを作ってほしい、という期待値を頂きました。ビジョン作りは苦労の連続でしたが、個別施策を宿毛市の皆さんが自分事として検討して頂くために外せないプロセスだったと思っています。

――ビジョン策定フェーズが終了し、事業計画策定フェーズではどのような検討をしたのでしょうか?

 

秋澤:前フェーズで策定したビジョンを参考に、自身で取り組みたい事業案をプロジェクトメンバーに発表頂き、5チームを編成しました。
5つのチームとは、1)サニーサイドパーク活用、2)釣り・ダイビング等のPR、3)地元産品を活用した新メニュー開発、4)果樹オーナー制度、5)文旦栽培へのファインバブル導入です。

 

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依岡:私はサニーサイドパーク活用チームのリーダーとして参画しました。サニーサイドパークは国道沿いにある道の駅です。その活用方針として、恵まれた立地や設備を活用して観光客だけでなく市民が集まる憩いの場にすることを検討しました。チームメンバーはみな本業をかかえる中で平日の夜などに集まり、各事業者が持つ課題意識や目的を共有した上で事業計画を策定していきました。他のチームと検討中の事業計画を発表し合い、実現可能性や収益性、マーケティング施策等について意見交換しました。

 

森下:この頃になると皆さんの意見の出方が変わってきたなと感じました。それまではケンブリッジから話を振らないと意見が出なかったり、意見を出す人が偏っていましたが、盛り上がってきた後は、こちらがコントロールしないと色々な人からいつまでも意見が出続けました。チームメンバーが主体的に検討したり、現地調査したり、資料にまとめてくださいました。

 

菱田:そういった言いたいことを言える状態になったのは、ケンブリッジのファシリテーションのおかげだと思っています。ケンブリッジは意見の引き出し方がスゴイ上手いと思いました。

 

吉岡:私はこの頃に呼ばれました。若手主体の活動なのに、なぜ私が呼ばれたのか?と正直思いました(笑)

 

森下:宿毛4Hクラブの若手の皆さんとの飲み会で吉岡さんの活躍の噂を聞きました。事業計画の筋を良くするために必要な方だとおもい、不躾にも吉岡さん宅に突撃訪問し(笑)アドバイザーとしてスカウトさせて頂きました。

「自分ごと」のアクションプランを練り上げる

――5つのテーマはどうやってアクションプランに落とし込まれていったのでしょうか?

 

秋澤:事業計画策定フェーズでの検討結果を参考に、各事業の実現可能性の検証や優先順位付けを行いました。5つのテーマが順当にアクションプランに落とし込まれたわけではなく、テーマによっては事業案を一部変更したものもありました。例えば、サニーサイドパーク活用はアクションプランに落とし込むことになりましたが、地元産品を活用した新メニュー開発は、売り方も含め、「物販・商品開発」としてアクションプランに載せることになりました。

 

依岡:サニーサイドパーク活用では、地元民が集まる場所にする方針のもと、まずは樹木の剪定や捨て猫対策、老朽化した遊具の撤去などの環境整備の検討を優先し、地元民のイメージ回復を図り、その後、恵まれた立地や既存資産を活用し、地元民が気軽に訪れたくなるような場作りと遊びの提供を行う。将来的には、地元民で賑わう道の駅として注目度を高め、旅行者の集客を目指す、という方向性でアクションプランの検討を進めました。
その具体的なアクションのひとつとして、サニーサイドパークに普段使えないようなプレミアム感のあるバーベキュー機材のレンタルし、手ぶらでいつもと異なる特別なバーベキューを楽しんでもらおうということになりました。

 

森下:このプロジェクトの打ち上げでもサニーサイドパークのバーベキューを活用させて頂きました。宿毛やその近隣の地区で獲れたおいしい食材、たとえば伊勢海老、蝉海老、長太郎貝、桧扇貝、ケンボロー豚、河内晩柑などなど、どれもおいしくて。他にもプレミアム感のある燻製器を使わせて頂き、特別感満載のバーベキューを体験させてもらいました。

 

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――活動の様子をメディアが取り上げたそうですね

 

森下:高知県出身の元ケンブリッジの人がこのプロジェクトの取り組みを高知放送に紹介してくださったんです。プロジェクト活動の終盤の様子を放送してくださり、お陰様で、最終発表会にはメディアを通じてこの活動に興味をもってくださった方にも出席くださいました。

ファシリテーションがヒトとヒトを繋ぐ、明日を創る

――このプロジェクトを通じてケンブリッジがどんな役割を果たしたのでしょうか?

 

吉岡:やっぱりヒトとヒトをつないだことでしょうか。同じ宿毛市民でも民間と行政が互いに話す機会はこれまでほとんどなかったと思います。話し合うことで、宿毛市の全体的な問題点を考える機会となりました。

 

菱田:今回の活動では、ケンブリッジのファシリテーションの威力を感じました。例えば、地元産品を活用した新メニュー開発では、生産側と販売側が一緒になって課題解決に取り組む必要があります。ところがこれまでは生産側と販売側で摩擦が起こっていたりしました。ファシリテーションを活用することでそういった溝を埋められることができると実感しました。

――このプロジェクト活動を契機に、新たな取り組みを進めていると聞きました。

 

菱田:私は宿毛市でパン作りをしているのですが、地元の食材を活用して宿毛ならではのオリジナルのパン作りができないかと考えていました。今回4Hクラブの皆さんと話す中で、万次郎かぼちゃを使ったパンができるのではと思い至り、現在開発中です。まずはカボチャペーストを試作しているところです。

 

森下:このプロジェクトで策定したアクションプランが色々な活動に進展していることを聞けて、とても嬉しいです。

 

依岡:この活動が、宿毛市の良い意味での火種になったと思います。ケンブリッジはそのブースター役となってくれました。ここから先は地元が自分事として取り組むステージです。このプロジェクトで宿毛市には熱い想いを持つ若者がいることを知りました。彼らと一緒になって宿毛市を盛り上げていきたいと思います。

 

秋澤:人口減少が続くなか、もう、民も公もないと思います。そのような中、このプロジェクトを通じて民と公が一緒話せたことはよかった。アクションプラン作りに取り組んだメンバーが、業種業態を超えて繋がったことが成果だと思います。彼らが宿毛市のこれからを創る担い手になっていくことを期待しています。

 

大塚:私も行政側の立場でプロジェクトを支援してきましたが、行政として地元の声を聞けたのが収穫でした。市役所としてもこの取り組みを今後に繋げていきたいと思います。

――本日は貴重なお話、ありがとうございました。

 

 

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