セミナーレポートSeminar Report

「企業変革実行セミナー」
~働き方改革を一時的な取り組みにしない方法とは~

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住友生命×ケンブリッジ プロジェクトでリーダーが育つ、働き方が変わる~

「人を育てる」。それは企業の成長にとって不可欠な要素であり、特に次世代を担うリーダーの育成はあらゆる企業にとって喫緊の課題となっています。しかし、その方法はいまだ手探りであり、特にビジネス環境の変化が激しい昨今は、懇切丁寧に育てる余裕もありません。そうした時、プロジェクトに「成長」を意図した工夫を加えることで、劇的に人が育つ環境を生み出すことができます。
本セミナーでは、「リーダーの育成」「プロジェクト成功」の二兎を追い、大きな成果を得られた住友生命保険相互会社様の実例をディスカッション形式でご紹介します。実際にプロジェクトに参画された方々の声から、「人材育成」「働き方改革」に役立つヒントが見つかるはずです。

 

ご登壇者
住友生命保険相互会社

・工藤氏:営業企画担当。実行力と責任感を兼ね備えたPM。立ち上げメンバー。
・岡田氏:情報システム担当。システム構築面でPMを全面サポート。立ち上げメンバー。
・百田氏:商品企画・開発担当。業務の設計面でPMを全面サポート。立ち上げメンバー。
・岡本氏:営業企画担当。若手のリーダーとして現在進行形でプロジェクトを牽引。3カ月後から参画。
・首藤氏:営業企画担当。保険の営業経験、女性視点を活かし活躍。ケンブリッジ離脱後に参画。

ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社 ディレクター 榊巻

■プロジェクトの立ち上げ方:老舗大企業が取り組んだ、一風変わったプロジェクト

 

榊巻:今回は、住友生命様とケンブリッジが“少し変わったやり方”で取り組んだプロジェクトの中で、何が起こり、何が変わり、そしてケンブリッジ離脱後もなぜ自律自走できているのか、といった観点でお話しします。具体的にはプロジェクトで大切にした「立ち上げ方」「会議の進め方」「振り返り方」の3部構成で進め、合間にプロジェクトメンバーの皆さまから感想をいただきます。

 

岡田:当社は1907(明治40)年に創業し、現在は東京・大阪の2本社制を敷いています。東京は主に保険販売・営業・コンサルティングを担う部門が中心で、大阪は保険加入後のアフターフォローを担う事務部門が中心です。

期間としては、2015年夏にプロジェクトを立ち上げ、2018年夏の導入開始を予定しています。ケンブリッジにはプロジェクト立ち上げからの半年間、コンセプト策定、現状調査・分析、基本構想の策定までをサポートいただきました。プロジェクトメンバーは、東京と大阪の営業・商品企画・事務部門、大阪・南港にあるシステム部門の担当者、30名前後で構成するクロスファンクショナル体制となっています。

プロジェクトが始まる以前の当社は、どちらかといえば、縦割り組織、上意下達、組織やラインの壁、東京・大阪などの距離の壁といった特徴があり、組織横断型のプロジェクトを行ってもシナジーが発揮できていませんでした。また、会議においても議論や合意形成がうまく進まず、意思決定やアクションのスピードに課題を抱えていました。

 

ケンブリッジとの協働は、2014年に当社の子会社がケンブリッジと業務改革プロジェクトに取り組み、そこで成果を挙げていたことがきっかけとなりました。私自身、同社社員とミーティングを行った際、彼らが生き生きとした表情で、巧みにファシリテーションを行う姿を見て感銘を受けたことも要因となりました。縦割りなどの弊害を取り払い、本質的な議論が行えるプロジェクトにするべく、中立的・客観的な立場でリードしてもらいたい。そうした要望から、ケンブリッジにサポートを依頼しました。

■立ち上げ方:俺達のコンセプトとゴールを徹底的に話し合うため現状調査禁止!

 

榊巻:ここからは実際のプロジェクトで最も特徴的だった「立ち上げ方」、「会議の進め方」、「振り返り方」について解説します。

 

まず立ち上げ時に最初に行ったのが「与えられたゴールを俺達のゴールに引き上げることでした。

プロジェクト開始時点では「営業職員の携帯端末を2018年までに更改する」というゴールがありましたがこれは、言わばトップから落ちてきたものです。こうした「与えられたゴール」は、やらされ感の元凶になってしまうのです。

まずプロジェクトの開始時に、メンバー全員が思いを一つにし、「何のためにやるのか」「なぜ、このタイミングでやるのか」「これをやるとどうなるのか」といった一連のコンセプトストーリーを“自分達の言葉”で語ることで「内発的動機を伴ったコンセプトとゴールをつくり出す」というプロセスからスタートしました。

 

そのため最初に「3週間、現状調査は禁止」と宣言しました。まずコンセプトを固めるために

  • 何のためにやるのか
  • どういうところを目指すのか

をきちんと話をして、それぞれに腹落ちさせる時間をとりました。そして、問い、言語化、ぶつけ合い、まとめのステップを3週間かけて行い、「与えられたゴール」を「俺達のコンセプトとゴール」に変えていきました。

例えばプロジェクトメンバーに対し、「現状の携帯端末の印象」について質問すると、「使いづらい、遅い、時代遅れ」という意見が、「次世代端末に求めること」には早くて軽い、使用率100%にしたい、最新技術を導入したいといった意見が挙がりました。

「ならば、究極的に早くて軽い携帯端末ができたら、使用率100%になりますか?」。そう問いかけると、「それは……NOだな」との声が。

すかさず、「そもそも、使われない本当の理由は何か?」「使いたいと思ってもらうには何か必要?」と問いかけました。それに対して出てきた課題やアイデアを、文章や絵などを使って具体化してもらいました。

 

その次に行ったのが、東京・大阪からメンバー全員を集めた、1泊2日の合宿形式による集中討議です。この集中討議もケンブリッジの特長です。年齢も部署も、価値観も異なるメンバーが徹底的に腹を割って意見や思いをぶつけ合うことで、常に本音で議論できるOne Teamになるからです。

まずは「現在の端末が使われない本当の理由」を深掘りするべく、全員が率直な思いをぶつけ合い、従来のやり方やルールを根底から見直しつつ、本質的な課題を浮かび上がらせていきました。

その結果、「従来の携帯端末は営業職員にとって“武器”になっていなかった」「使用率を高めることは本質ではない」といった意見が出始め、「営業職員は携帯端末が使いたいわけではない。顧客から『ありがとう』と言われたいのでは?」など、本質に迫る意見が出てきました。そこから営業職員のあるべき姿も検討し、全員が納得できるまで議論した結果、「タブレットでありがとうを生み出す」という自分達の言葉で語れるコンセプトとゴールが誕生しました。

■心理的安全性の確保~安全性がチームの力を最大化する~

 

榊巻:この時期にもうひとつ大事にしていたのが、「心理的安全性」の確保です。縦割り、かつ様々な壁がある状態では自由に意見は言えません。そこで「業務上の上下関係などは考えず自由に発言する」、「目的、お客様のことだけ考えて」意見を言うということを重要視しました。

まず、プロジェクトに対しての決意と期待を、各メンバーに表明してもらいました。また、メンバー全員で議論し、プロジェクトのグラウンドルールをつくりました。「積極的に発言する」「思ったことはすかさず言う。不安やモヤモヤをためない」「年次は一切気にせずコミュニケーションを!」「言葉の定義や前提合わせを丁寧に!」「所属部署は気にせずイチ社員としてあるべき姿を考える」「Have Fun!」など。こうしたルールをプロジェクトルームの壁に掲示したことで、「プロジェクトルームに入れば、普段のヒエラルキーを離れ、自由に議論できる」という意識付けを徹底していきました。

 

百田:我々としてはすぐに現状調査を始め、プロジェクトを前に進めたいと思っていたため、最初に「3週間、現状調査は禁止。まずはコンセプトとゴールを決める」と言われた時は、多くのメンバーが苦い顔をしていました(笑)。しかし、今はこのプロセスがあって良かったと心の底から感じています。特に集中討議でわかったのは、メンバーが様々な思いや考えを抱えながら参加していたこと。従来から東京・大阪間でテレビ会議を行っていましたが、距離の壁や温度差を感じていました。集中討議の合宿を通して、顔を見ながら本音をぶつけ合い、考え方や足並みを揃えられたことが、後々大きな効果を発揮してくれました。

 

グラウンドルールの重要なポイントは、いずれもプロジェクトを前に進めるためのルールであり、上司から与えられたものではなく、自分達で決めたルールだということ。そのため、誰もが進んでルールを守るようになる。こうした点も、マインドの変化、働き方の変化につながっていると感じています。

 

岡田:集中討議の初日は、議論が白熱しすぎてスケジュール通りに終わりませんでした。その夜はお酒も入ったのですが、解散後、部屋の隅にケンブリッジのメンバーが集まり、翌日の進め方についてすごい勢いで軌道修正していました。そのおかげで翌日はスムーズに議論できたわけですが、こうした事前準備に対する本気度には刺激を受けましたね。

 

工藤:心理的安全性が確保されたおかげで、年次の違いや組織の壁を越えたフラットな環境で議論でき、誰もが納得できるコンセプトとゴールがつくり出せました。我々だけで行っていたら、違いや壁を乗り越えられず、本質的な議論には至らなかったはず。チームビルディングという意味でも、この3週間が、大きなカギを握っていたと思います。

 

岡本:私はプロジェクト開始から3カ月後に参画しましたが、プロジェクトメンバーの一体感がとても印象的でした。会議では若手にもどんどん発言が求められ、否定もされないため、素直に自分の考えを述べることができました。明確なコンセプトとゴールがあり、全員が同じ方向を見ながら進んでいく環境は、今まで経験したことのないものでした。

 

首藤:私はケンブリッジ離脱後に参画しましたが、最初は知識・経験の少ない自分が途中から入ることに不安を覚えていました。ところが、最初にコンセプトとゴールを見た時、プロジェクトメンバーと同じイメージが描け、私自身もそれを実現したいと思いました。それが心の支えになりましたし、自由に発言できる環境があったことも安心感につながりました。

■会議の進め方:徹底的に議論を見える化する「スクライブ」

 

榊巻:このプロジェクトでは「会議の進め方」についてとても大事にしていました。

ケンブリッジでは、会議の質がプロジェクトの質に、会議の速度がプロジェクトの速度に、会議の満足度がプロジェクトの満足度につながると考えています。例えば、2人で行うような打ち合わせも、そこで決まったことがヒト・モノ・カネを動かすと考えれば、「何かを動かしていくための小さな会議」です。会議で何かを決める速度がプロジェクトのスピードに直結します。そのためプロジェクトを成功に導くために、ケンブリッジはあらゆる会議の品質向上にこだわっています。そのために「会議ファシリテーション」をフルに活用しました。

一般的な会議は、役職が高いほど発言力があり、若手は主に聞き役、もしくは書記役です。また、会議の目的や進め方(アジェンダ)、終了条件が示されることも少ない。さらに、ホワイトボードは使われず、皆が下を向いて資料やパソコンを見ながら進んでいく。こうなると意見だけが宙を飛び交い、論点も定まらないまま次第に議論は横道に逸れ、時間だけが経っていきます。

 

一方、ケンブリッジの会議では、徹底的に議論を「可視化」します。ケンブリッジでは「スクライブ」と呼んでいますが、問いかけ、意見、アイデア、決定事項などのあらゆる発言を大きな模造紙やホワイトボードに書き出し、議論を“見える化”していきます。全員が顔を上げて同じものを見るため、議論の方向性や論点が揃えられ、空転や脱線がなくなります。

このように「書く、同じものを見る、下を向かずに意見を出し合う」という環境を整えたことにより、会議の質・速度・満足度がグッと向上したように感じています。

■「会議の進め方」について感じたこと

 

百田:まず大きいのは、「心理的安全性」が確保されていたので年次に関係なく意見を言えるという雰囲気でした。

その上で誰もが本音で発言し、モヤモヤや不安もはき出せるため、非常に効果的な議論ができ闊達な会議だったと思います。

 

岡田:スクライブは衝撃的で、その効果も実感していましたが、実際に自分がスクライバー(スクライブの担当者)を務めるのは非常に難しかった。議事録のように、単純に発言を書き留めるわけではなく、頭の中で素早く論点を整理した上で発言内容を要約し、ポイントを書き留めなければならないからです。今回はケンブリッジ離脱後を見据え、スクライブを含めたファシリテーションのトレーニングを何度も行ってもらいました。そのおかげで今も会議が効率的に進められており、ファシリテーターがつまずくと、他のメンバー(=隠れファシリテーター)が助け船を出すなど、良い効果も生まれています。

 

岡本:私はプロジェクトの参画直後にスクライブを任されましたが、最初は議論のスピードに追いつけず、ほとんど何も書けませんでした。それがトラウマになり、通勤中や帰宅後に要約の仕方や書き方、ペンの色分けなどの自主練を繰り返しました。今では私を含めた若手がファシリテーターやスクライバーを務める機会も増えていますが、「心理的安全性」が確保されているため、先輩方にも臆することなく対応できています。今は社内にいる時間の中で、プロジェクトルームで過ごす時間が一番楽しいですね。

 

首藤:私も最初は何も書けませんでしたが、参画当初に先輩方からスクライブのトレーニングを行ってもらい、議論の流れや論点が理解できるようになりました。新たに入ってきたメンバーも、今では自信を持ってファシリテーターやスクライバーを務めていますが、そうした姿を見るとケンブリッジから学んだことが脈々と受け継がれているなと感じます。

 

工藤:このプロジェクトでは1つの会議室を借り切り、「プロジェクト専用ルーム」としていますが、若手メンバーにとっては「ここに来れば、自分の力が存分に発揮できる」と、安心できる場所になっています。私も会議のたびに若手の成長を実感していますが、そのきっかけをつくり出してくれたのがケンブリッジのファシリテーションだったと感じています。

 

岡田:ケンブリッジがプロジェクトルームに常駐してくれたおかげで、何かあればすぐに相談できましたし、常にお菓子を用意してくれていたため、ふらりと訪れては雑談したり(笑)。こうした何気ないコミュニケーションがとれたことは、プロジェクトメンバーにとって大きな助けになりましたね。

実は、節目ごとに行う担当役員へのプレゼンもプロジェクトルームで行いました。通常は役員室に来ていただき、きれいな資料を用意して説明するところ、今回はプロジェクトルームの壁一面に貼られたスクライブの成果を見せながら説明しました。役員の方々にもプロジェクトの空気感やメンバーの熱量を肌で感じてもらいたい。そんな考えからお願いしたわけですが、説明後の感触は非常に良かったですね。

 

工藤:プロジェクトの空気感という意味では、プロジェクトの「名前」を決めたことも良かった。「次世代携帯端末の開発プロジェクト」ではなく、「青空の下で良い顧客体験を」というイメージから、「青空プロジェクト」という明るく、前向きな名前を付けました。これも全員で議論して決めたため、プロジェクトに対する愛着が一層わきました。

■振り返り方:議論や会議をムダにしないために「振り返る」

 

榊巻:会議でより良い合意形成が図れたとしても、モヤモヤを残したままではどこかで認識のズレ、スケジュールのズレなどが生じてしまいます。プロジェクトの質やスピードを高めるには、会議の内容を振り返り、「決定事項」「課題」「ToDo」「期限」「良かった点」「改善すべき点」などを洗い出し、確認・共有することが大切です。ケンブリッジでは毎回の会議後の振り返り、(チェックポイント)をはじめ、週単位、3カ月~半年といった節目ごとに必ず振り返りを行います。

 

百田:なぜ、振り返りをするのか? 私も最初はそう思いましたが、今ではその重要性を認識し、ケンブリッジから学んだことを続けています。従来のプロジェクトでも振り返りは行っていましたが、今考えれば「魂がこもっていなかった」と感じます。何事においても、振り返りは改善の土台となります。また、短いサイクルで振り返りを行うことで、個人の内省が促進され、短い期間でもチームをより良い方向にスパイラルアップさせていくことができます。

 

今回のプロジェクトでも会議終了時、下記のようなポイントをもとに個人・チームの振り返りを行いました。また、毎週末には1週間の活動で良かった点や改善すべき点について「振り返りメール」を送り、全員で共有しています。

  • 会議冒頭で示したゴールを達成したか
  • この会議での決定事項は何か
  • 決まっていない課題はないか
  • 次回の会議までのToDo、役割分担、期限
  • モヤモヤしている点はないか
  • 会議の良かった点、改善すべき点は何か(時間、議論の流れ、発言の量など)
■モヤモヤチェックポイント&サンセット

 

百田:不安やモヤモヤを残さないという点でも、振り返りは重要です。今回のプロジェクトでは、会議の感想とともに、疑問や不安をはき出してもらう「モヤモヤチェックポイント」を行っていました。小さなモヤモヤを細かく拾い、それを全員で検討し改善していくことで、次回以降の会議の質やスピードを高めることができました。

「サンセット」は半期に一度、役員会に稟議を通した後などに行っていた振り返りです。事前に各メンバーが個人・チームの良かった点や改善点、今後のあるべき姿などをペーパーにまとめ、それをもとに前後半の2回に分けて討議しました。ペーパーをまとめる作業は、活動の振り返りにつながり、個人の内省を促します。また、メンバーの入れ替わりもあるため、節目ごとにプロジェクト全体の状況・情報を一旦整理し、全員の認識や理解度を揃えることで、次のステップにもスムーズに進んでいくことができるようになります。

サンセットの1回目は、それぞれがペーパーにまとめた内容を発表し、それに対するフィードバックを行います。また、前期のサンセットで決めた項目が実現できたのかどうかも振り返ります。2回目は、討議のまとめと今後の改善点の確認、具体的な改善方法までを決め、共有します。例えば、先日のサンセットでは「青空プロジェクトはうまく進んでいるが、次の半期は並行する他のプロジェクトとの連携を強めなければ、本当の成功にはつながらない」といった意見が多く出されました。こうした討議を行うことで、チームの進むべき道やベクトルを合わせることができます。この討議で決まった改善点は、グラウンドルールに盛り込まれ、すぐに実行に移されます。

■「振り返り方」について感じたこと

 

百田:サンセットは非常に盛り上がり、チームの雰囲気が一気に良くなります。また、自分の知らなかった誰かの頑張りが明らかになるのも、様々な気づきにつながっています。振り返りの進め方やグラウンドルールについては、改善の文化が根づいたおかげでケンブリッジ離脱後にブラッシュアップが図られ、さらに進化しています。

例えば、フィードバックについても当初は工藤や岡田が行っていましたが、現在はメンバー全員が一人ひとりに対して感謝や良かった点をひと言ずつ寄せ書きし、サンセットで発表しています。実は、これを提案してくれたのが首藤で、「みんな、一人ひとりに感謝を伝えたいと思っているはず。でも、時間が足りない」ということで、事前に用意できる寄せ書き形式にしました。ポジティブなフィードバックは最高の動機付けになりますが、特に若手メンバーはそれを実感していると思います。

 

首藤:当時は異動期だったため、プロジェクトを離れるメンバーの努力を全員に知ってほしいと思い、提案しました。また、私は途中からプロジェクトに参画しましたが、プロジェクトの初期段階から「心理的安全性」に最も腐心してくれたのは、PMOの方々だったと思います。プロジェクトを前に進めてくれた人に対しては、上司であってもきちんと感謝を伝えたいと思いますし、その上で積極的な行動でプロジェクトに貢献することが、一番の恩返しになると思っています。

 

岡本:初めてサンセットを体験した時、「これはすごく良い取り組みだ!」と思いました。社会人になると、誉められる機会は滅多にありませんよね(会場笑)。それぞれのメンバーが私のことを考え、言葉を贈ってくれる。見過ごされがちな頑張りにもきちんと目を向け、感謝してくれる。それがとても嬉しいですね。サンセットでは「振り返りムービー」も流しています。ケンブリッジがプロジェクトの風景を撮影していたため、それを有効活用したいと思い、今ではサンセットの最後にムービーを見て、思い出話に花を咲かせながら終わるのが恒例となっています。

 

工藤:最初は「サンセットって何?」という感覚でしたが(笑)、今はプロジェクトに不可欠なものだと思っています。一人ひとりに思いを巡らせ、コメントを書くのはとても大変です。しかし、全員が手を抜かずに書いてくれる。それまでプロジェクトの中で紆余曲折あったとしても、寄せ書きを見れば、コンセプトとゴールを決めた頃の「初心」に戻ることができ、気持ちも新たに次のフェーズに進むことができます。

 

岡田:たとえ時間や手間がかかったとしても、プロジェクトの成功確率を高めるために、チェックポイントやサンセットは絶対にやるべきです。事実、改善のサイクルが素早く回せるため、次のフェーズにもスムーズに移行でき、投資に値する効果も得られています。

 

百田:最近では、プロジェクトでチェックポイントやサンセットを体験したメンバーが、自部署でも実践し始めています。目的やゴールを共有する、議論を可視化する、本音で語り合う、必ず最後に振り返る。こうしたことが社内に浸透し始めれば、色々なことが変化していくと思います。

■プロジェクトでリーダーが育ち、働き方が変わる!

 

榊巻:最後に、立ち上げメンバーのお三方からひと言いただけますか。

 

岡田:変化の激しい時代になり、部門横断的なプロジェクトの重要性はますます高まっています。その中で今回、トップや役員の方々から「今後、部門横断的なプロジェクトを立ち上げる場合は、青空プロジェクトのようにやってみたらどうか」と言っていただけたのは、非常に嬉しいことでした。

 

百田:上司がプロジェクトを引っ張れば、物事はスムーズに進むかもしれません。反面、視野が狭くなり、顔色をうかがうような議論に終始し、色々な可能性を失うデメリットもあります。何より、若手のチャンスが失われていきます。今回は、若手メンバーの積極的な発言や行動が、プロジェクトの活性化につながりました。そして、飛躍的に成長した彼らが次代のプロジェクトの主役になってくれると確信しています。

 

工藤:私からお伝えしたいことは、3つあります。1つ目は「コンセプトが全ての指針になり、支えになる」。意見が食い違った時、判断に迷った時、誰もが共感できる明確なコンセプトがあることは、心の支えになる。そしてそれは、部門の垣根を越えたコミュニケーションも容易にしてくれる。途中から参画したメンバーもそれが拠り所になり、自信をもって発言できるようになる。

2つ目は、「日々の会議の質がプロジェクトの質を高める」。ケンブリッジのファシリテーションを学び、一つひとつの小さな工夫を積み重ねていくことが、プロジェクトの質を劇的に高めることにつながると実感しました。それらの定着・浸透が、いまだ道半ばにあるプロジェクトの推進力になると思っています。

3つ目は、「振り返りの浸透がプロジェクト成功のカギになる」。小さな不安やモヤモヤを見逃さず、丁寧に拾い集め、改善していく。良かった点も明確に指摘し、さらに伸ばしていく。時間と手間はかかりますが、これが浸透していけばプロジェクトの成功確率はグッと高まります。

 

榊巻:プロジェクトは立ち上げが大切です。心理的安全性につながるグラウンドルール、活動全体の土台となるコンセプトとゴールがつくり出せれば、プロジェクトは勢いに乗り、自律自走を始めます。そして、プロジェクトを通じて仕事の楽しさ、喜びが実感できるようになれば、個人のマインドや働き方が変わり、次代を担うリーダーも育っていきます。会場の皆さんもぜひ、「人を育てる」プロジェクトを通じて、自社に変革を起こしていただきたいと思います。

 

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