著者:影山 明
出版社: 日経BP社
価格: ¥ 1,890
単行本: 252ページ
ISBN-13: 978-4822262464
発売日: 2011/6/13
内容紹介
「なぜケンブリッジのプロジェクトは成功するのか」
プロジェクト成功率95%を誇るケンブリッジが、プロジェクトを成功させるために何を考え、どのように行動しているのか?。そのヒントとなる12の知恵を惜しみなく披露。
目次
- プロジェクト・ゴールとCSF(主要成功要因)
- ノーミング・セッション
- グラウンド・ルール
- セッション・ゴールとアジェンダ
- セッション・プラン
- 課題管理
- チェックポイント
- 「80・20」(エイティー・トゥエンティー)
- ファンクショナリティ・マトリクス(FM)
- イエローフラッグ
- タイムアウト・ルール
- Have Fun!
著者インタビュー
―― この本にはケンブリッジがプロジェクトを成功させるために実践していることが綴られていますが、このような本を書こうと思った動機は何でしょうか。

影山 明
人事マネジャー
影山 ケンブリッジでは2009年、IT Proにおいて「ファシリテーション研究所」というWeb連載をしていました。プロジェクトを円滑に進めるためのノウハウ・テクニックをお伝えする内容です。この本はその書籍化です。当初はそのままを書籍化するつもりでいましたが、せっかく書籍化するならば、「ケンブリッジならこうする!」というケンブリッジの価値観がにじみ出る内容にしたかったので、ほとんど全て書き直してしまいました。
―― ケンブリッジの強い思いが詰まった書籍とのことですが、どのような方に読んでいただきたいですか。
影山 まずITのプロジェクトに関わっている方々に読んでいただきたいです。ITのプロジェクトに関わっている方であれば、直接役に立つヒントが拾えるはずです。ただし、ケンブリッジの仕事のやり方というのは、仕事ができる人のコンピテンシーが凝縮されたものだと考えており、そのエッセンスをこの本に詰め込みました。したがってITのみでなく、またプロジェクトに限らず、日々みなさんが行っている仕事にも十分参考になるものだと考えています。
―― 本書で語られている12の知恵はいずれも言われてみれば当然のことであり、一見すると実践することも難しくないように思えます。ところが、会議が予定時間をオーバーする、誰が担当なのか曖昧なまま放置されているなど、仕事がうまく回っていない場面を目にすることが多い現実があります。ケンブリッジが12の知恵を活かし、仕事をうまく進めることができる要因はどこにあるのでしょうか。
影山 ノウハウやテクニックを知っていればできるわけではない、ということだと思います。プロジェクトに限らず、どのような仕事も自分一人だけで進めるものではありません。いかに良い仕事の進め方があって自分だけが実践していても、周りの人がそのやり方を理解してくれなければ良さが出ないでしょう。ケンブリッジには仕事のやり方そのものだけでなく、良いと思ったことを積極的に取り入れてみんなで実践しようという風土があります。この「良いものを積極的に取り入れる風土」こそ、この本を通じて感じていただきたいことですし、大きな問いかけになっていることです。
―― ケンブリッジでは当たり前とされていることでも疎かにしないという印象があります。

影山 ケンブリッジでは、「こういう方が良いよね」「ここはおかしいよね」という声をそのまま放置せず、まじめに議論します。それだけでなく、まじめに議論する環境をつくることにも気を配っています。例えば、セッション中に携帯電話で話し込む人、内職して議論そっちのけの人、毎回遅刻してくる人がいるとまじめに議論などできません。そこで、グラウンド・ルールで「○○しよう、××やめよう」と先手を打ってルール化してしまうのです。そうすることで気持ちよく議論に集中できます。このように、まじめに議論することにケンブリッジは真摯に取り組んでいます。
―― 12の知恵のなかで最も印象的であったのは「Have Fun!」でした。困難なプロジェクトでも明るく前向きに取り組もうとする、ケンブリッジのプロジェクトに対する姿勢が表れている印象的な知恵です。影山さんにとって思い入れのある知恵は何でしょうか。
影山 セッション・プランです。正確に伝えたいと思うがために、3回も書き直したくらいです(笑)。セッション・プランでは「プロジェクトをファシリテートするということはどういうことか」を問いかけています。ケンブリッジでは、プロジェクト開始時に全てのセッション計画を立ててしまいます。実は私がケンブリッジに入社間もない頃、セッション・プランは「プロジェクトが遅れないためのツール」としか考えていませんでした。しかし、プロジェクトをいくつか経験するなかでセッション・プランを立てる目的はそれだけではないと気づきました。セッション・プランでは「いつ、何を、誰と意思決定するのか」を計画します。いざ計画してみると分かるのですが、「こんな問題が出てきそうだな」とか、「プロジェクトオーナーに承認してもらわないと先に進めないな」というように、頭の中で徹底的に想像しないと地に足のついた計画はできないものです。つまり、まさにこれから始まるプロジェクトを疑似体験することになります。プロジェクトは唯一無二のもので、今までの進め方をそのまま適用できるほど簡単なものではありません。しかし、このセッション・プランを立てるという作業を行うことで、ケンブリッジでは不確定要素の大きいプロジェクトでも柔軟に対応することができるようになるのです。他社にはない、ケンブリッジ最大の特長ではないでしょうか。
―― 12の知恵はいずれもプロジェクトを成功させるために必要なものだと思いますが、どこから手をつけて良いか悩ましいと感じる読者も多いと思います。
影山 社会人3年目くらいまでの経験が未熟な方にとっては「イエローフラッグ」をお勧めします。経験が未熟であればあるほど、何をして良いのか分からず固まってしまう傾向があると思うので、「ちょっと私、このままではマズイです」と手を挙げることを歓迎しています。ただし、考え抜くことが疎かになっては本末転倒ですので、ある程度頭を捻ってもらうことは大前提です。
―― できないと表明することを歓迎する考え方は実にユニークです。
影山 自分がどういう状態にあるのかを理解していないとイエローフラッグを挙げることはできません。そのように考えると、実はイエローフラッグを挙げることは誰にとっても難しいものです。また、イエローフラッグは「責任とは何か」についても問いかけています。多くの場合、「おまえ一人でやれ」というのが責任と受け取られていないでしょうか。ケンブリッジが考える責任とは、誰にも迷惑をかけずに一人で抱え込むことではありません。ゴール達成のためであれば、「あなたがやらなくても良いので必要な人を巻き込んで最後まで見届けること」が責任だと考えています。
―― 「一人ではなく、みんなで協力した方が良い成果を生み出せる」という考え方が前提になっていますね。
影山 その通りだと思います。
―― ある程度の社会人経験を積んだ方に対してはいかがでしょうか。

影山 「プロジェクト・ゴールとCSF」をお勧めします。目の前の作業に没頭すると「何のためにやっているのか」という目的思考を見失い、プロジェクトの成功とはかけ離れた方向へ脱線しがちですが、そのような時に本来のレールに戻るための道標になるのが「プロジェクト・ゴールとCSF」です。
―― 12の知恵にはケンブリッジの行動規範が凝縮されている、そのような印象を受けます。
影山 ケンブリッジ日本オフィスが発足してから14年間のエッセンシャルオイルだと考えています。そこにはプロジェクトを成功させてきた人々による「何がプロジェクトの成功に結びついたのか」というエキスが凝縮されています。大事なことを教科書的に並べるのではなく、なぜこのようなやり方や考え方を大事にしているのか、そこに至る思い・価値観を語りたいと思いました。これからお客様になる方、入社される方にケンブリッジが考えていることを感じ取っていただければと思います。
―― 最後に一言お願いします。
影山 ぜひ、ケンブリッジに興味を持ってください。これまで、プロジェクトを成功させることに強みを持った会社は他になく、ケンブリッジはユニークでスペシャルな会社です。みなさまをケンブリッジファンにする自信がありますので、ぜひ本を読んでいただきケンブリッジに触れていただければと思います。それが今後お仕事をご一緒するきっかけになれば嬉しいですね。
